勤務医をやめてここ2年くらい、九州各地へ健診のバイトに行っています。
日雇いのため毎回行く所が違い、その土地の人気の食堂やラーメン屋さん、うどん屋さんなどを探して行くのが楽しみの一つになっています。
昨日、福岡の筑豊地方郊外の事業所で勤務があったのですが、近くには食べる所どころか家もなく、google mapで検索したところ、車で15分くらいの所にかなり高評価で口コミの多い中華屋さんを発見しました。
しかし、運転していても辺りは山と川しかなく、間違っているんじゃないかと思っていたら、目的地に看板があり、奥に小屋のような店がありました。
入ると20席位ありましたが、空いているのは3~4席で、繁盛している様子でした。
とりあえず、口コミに美味しいとあった酢豚定食780円を頼んでみましたが、正直なところ、コスパでうけているんだろうなと想像していました。
しかし、食べるととても美味しく(これまで食べた酢豚では間違いなく一番)、小鉢やデザートも美味しく見た目もきれいで、一流店顔負けでした。
食事が済み爪楊枝を取ると、これがまた細くて硬くしなりのある上等な品でびっくりしました。
店員さんも感じよく、常連さんと冗談を交わしたり仕事の労をねぎらったり、お客さんも進んで相席になったりと居心地のいい店でした。
なぜこんな所でやっているのだろう、街で開業したら行列必至なのにと思いましたが、お客さんを大切にするにはこれくらいが丁度いいのかもしれないなと思いました。
美味しいものを提供したい、お客さんに喜んでもらいたいという気持ちが心から伝わってきて、自分も大満足だったので、「美味しかったです。また来ます」と言って店を出ました。
そして、自分も何か人に喜ばれることがしたいという気持ちが湧いてきてワクワクしてきました。
喜びって分けると増えていくんだなと思いました。
と同時に、分けたら減るという思考がこびりついていることに気づきました。
帰り道、勤務医だった頃の自分を思い返し、これくらいの想いで患者さんに接していただろうか…と思いました。
たぶん、患者さんのことよりもノルマをこなすことで頭が一杯だったと思います。
PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)の中で改善、成長を求められ、目標を達成したらハードルが上がり、達成できないとスタッフのボーナスや昇給に響くため全力で走りすり減っていく。
そのうち、つらさを感じないよう自分の気持ちにも他人の気持ちにも鈍感になっていく。
この差はなに?
そして思い至ったのが、想いが先か、お金が先かということです。
お金はもちろん必要ですが、「何がお金になるか」で始めると、お金にならない豊かさよりも、取り分を増やすことが重要になり、「勝ち組」「負け組」のゲームが続いていく。
どちらが正解というものではないと思いますが、”喜びは分けると増えていく”ところに希望が見えました。
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幸福は分かち合うように作られている (ジャン・ラシーヌ)
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