ある漢方医のつぶやき

いぬつかひさしの備忘録

アトピーコップ

アトピーコップ」って聞いたことありますか?

前回のブログを書いていてこれも書いておこうと思ったので追加します。

アトピーコップとは、コップにアトピーの原因になるものがたまっていき、溢れた時に発症することを例えたものです。

私はアトピーではありませんが、アレルギー体質でよく湿疹が出ます。

外科をやっていた頃、手袋負けが感作して全身に広がり、ステロイドを塗ったり飲んだりしていました。

生活習慣や環境を変えて落ちつきましたが、今でも油断すると時々出ます。

漢方では、アトピーを含め湿疹には食養生が大切であることを指導し、私も注意していますが、実は食事はそれらの悪化因子ではあっても原因の一つにすぎません。

つまり、食生活だけでなく、元々の体質に加え、皮膚のバリア機能、アレルゲン、環境因子、ストレス、過労などが積み重なり発症するということです。

さらに、ストレスが悪化させることもあれば、悪化したことがストレスになることもあり複雑です。

病気の原因は一つに特定できるものではなく、様々な要因が重なり合い絡み合っているのです。

これは、アトピーに限らずすべての病気について言えます。

しかしここを理解せず、コップからあふれた所を取り去り、「〇〇の原因は△△」「~~すれば治る」言ってしまう人がいます。(医者にも!)

そして、そのような所に集まった患者さんがクリニックへ流れてくるのをたびたびみてきました。

もちろん、これを意図してやるのは悪質ですが、やっている本人もよかれと思ってやっているのが難しいところです。

困っている時は、ついわかりやすい方法や断定的な言い方にひかれてしまうものですが、そういう時は冷静な判断ができなくなっているので注意が必要です。