ある漢方医のつぶやき

いぬつかひさしの備忘録

ストレスホルモン

先月、「内なるドクター」の記事で、「大切なのは免疫力を落とさないこと」と書きました。

その免疫力を落とす一番の原因は、ストレスと言われています。

ストレスは「人生のスパイス」とも言われ、適度なスパイスは料理を美味しくするように、適度なストレスは目標を達成したり困難を克服する原動力となり人生を豊かにします。

しかし、過度なストレスが続くと免疫力が低下します。

ストレスと闘うため必要な機能が動員され、闘いにあまり関係ない免疫機能などは抑えられてしまうからです。

その指令役が、ストレス時に副腎皮質から分泌される「コルチゾール」というホルモンです。

コルチゾールは、別名「ストレスホルモン」と呼ばれます。

現代人の多くは、毎日のようにストレスフルな状況に置かれ、副腎がアクセルを踏みっぱなしで免疫力が落ちた状態になっています。

これが長期間続けば「副腎疲労」という機能不全に陥り、アクセルを踏んでも副腎が働かず、意欲低下、倦怠感、めまい、不眠、気分変調、食欲不振などが現れます。

免疫力の低下はいろんな病気の原因になるため注意が必要です。

例えば癌。

人体には毎日約5000個の癌細胞が発生しますが、免疫担当細胞がこれを退治し発症を免れています。

免疫とは、名の如く「疫(病気)を免れる」働きなのです。

年齢とともに免疫力が落ち癌は増えますが、ストレスも無関係ではありません。

臨床医をやっていて、癌患者さんに真面目で我慢強い人、自分や他人に厳しい人が多い印象を持つのは私だけではないはずです。

遺伝や生活習慣などもあるのでそれだけが原因とは言えませんが、病気を治す前に「病気にならない生き方」を心掛けることも大切だと思います。